昔から友達作りにとても慎重で、本当に心から仲良くなるには時間のかかるタイプだった私。今思うとそれはたぶん、相手に対してどんな在り方をしたらいいのかが決まらないからで、「この人にとって私はどのキャラ(自分)だったら仲良くなれるんだろう」と探っていたんだと思うんです。
相手のことが分からないと在り方が決まらない。だから、分かりきるまで仲良くなることはない。逆に、何らかのきっかけでたまたま在り方が決まると、もう何年も前からの友人だったように急に仲良くなる・・そんなことを繰り返していました。

例えば、知人を介して知り合った起業仲間がいるんですけど、これがまためちゃめちゃ人見知りな感じで、出会った当初は印象最悪だったんですね笑。こっちも負けないくらいに人見知りなものですから「これは仲良くなるなんて無理でしょ」って思っていたんです。ところがある日、ちょっと内緒で彼女の公式LINEに登録し、しれっと配信を読んでいたら、私のことをとてもティーアップしてくれていたことがありました。
「何この人・・まさか良い人かも・・!超感激!!」と思い、「ありがとう〜キュピー!ヾ(´∀`)ノ」←大好きだよの意、と突然返信を送ったら「なんだよ・・登録してる奴がいる・・;;」と返信がきました。
このツンデレな反応に「あ。私は彼女に対して、キュピーの私でいけばいいのね・・!」と分かって、ようやく在り方の型がバチっとはまった気がしたんです。それからはとっても仲良し。大好きなビジネス仲間です。
こんなふうに、自分の中にはいろんな自分がいるのが当たり前だけど、相手にガチっとハマる自分は「この自分」というのがきっとあるものじゃないかと私は思うんですね。
「型にはまる」って、そんなにダメなこと?
でも、こんな話をすると「人によって在り方をコロコロ変えるなんて、自分らしくない」とか「相手次第で型にはまるのは良くない」と言われることがあります。「ありのままの自分でいることが一番」「型にはまるのは自分を偽ること」という考え方って、自己啓発の世界でもよく聞きますよね。
実際、私のところにもこんなご相談が届きます。
「伝えたいこと、伝えたい相手はある程度明確になっているのですが、いざ発信すると当たり障りのないどこにでもある言葉になったり、自分に嘘をついてるみたいで苦しいです」
「本当の自分がわからなくて、どう発信していいかわからない」
「相手によって態度を変えるのは、自分らしくないのではないか」
確かに理想的には聞こえます。ですが実際のところ「ありのままの自分って何?」「どう振る舞っていいかわからない」という不安を抱えている人って、意外と多いのではないでしょうか。
私みたいな人付き合いに慎重なタイプというのは、関係性の浅い人に対してどう振舞って良いのかが分からないんだと思うんです。だけど相手にとって自分はどんな在り方でいると心地よいのかが分かると、安心して仲良くなることができるし、互いにとても心地よい関係性でうまくいくことができる。
つまり「型」があることで、安心して自分を表現できるということなんですね。
プロの声優が語る「型を借りる」表現法
少し前のことですが、とても印象深い話を目にしました。26年間『ポケットモンスター』のサトシ役を務めた声優の松本梨香さんが、「キャラクターに感情移入するコツ」について語っていた内容です。
松本さんは「台本に書いてあるセリフを浄化するように唱ってる」とおっしゃっていたんですね。例えば「ありがとう」って書いてあったら、「うちの父親とか母親にもっと『ありがとう』って言いたかったな」というところで重ねて、すごく心を込めて言ってたりする。
「脚本のセリフを借りて伝えてます。すごく。」

「夢叶えても追求する、だからポケモンマスターは深い」
これって、めちゃめちゃ深い話だと思うんです。松本さんは台本という「型」があるからこそ、自分の本当の気持ち(両親への感謝)を安心して表現できている。もし「あなたの両親への想いを表現してください」と言われたら、きっと恥ずかしくて言えないかもしれません。でも「サトシの気持ちとして『ありがとう』を言ってください」なら、その言葉に自分の本当の感情を込めることができる。
型があるからこそ、本当の自分を表現できるということなんですね。
安心して表現するための「型」の価値
私たちのプログラムでも、講師を招いて感情解放の朗読劇というワークを行っています。私は自己表現の個性を彩る”感性”というものは、感情体験の積み重ねだと考えていて、まずは感情を感じ切る体験を自己表現の土台作りとしてとても大切にしています。
その中でも最大のメリットは自己表現の安全性の確保なんですね。
感情解放って、本来はとても傷つきやすい側面のある行為です。いきなり「あなたの封印された感情を表現してください」と言われても、多くの人は恐怖で固まってしまいます。
でも朗読劇なら:
・台本という「お借りした言葉」だから、いつもの自分を守りながら新しい自分を試せる
・「これは私の感情じゃなくて、台本の登場人物の感情です」という言い訳ができる
・失敗しても「演技が下手だった」で済む、「私の表現がダメ」にならない
心理的安全性が確保されて初めて、思い切った解放が起こるんです。型があることで、逆説的により自由で本質的な表現ができるようになるということです。つまりこれは、松本さんの例と同じで、「型を借りる」ことで、自分では言えなかった本当の気持ちを表現できるようになるんですね。

「誰にとってどんな存在で在りたいか」が型を決める
自己表現をビジネスにしていく上で、私がいつも受講生に伴走している大切な問いがあります。
「誰にとってどんな存在で在りたいか」
この問いが明確になることで、安心して伝えたいことが思いっきり伝えられるようになるんです。先ほどのご相談者の「当たり障りのない言葉になってしまう」「自分に嘘をついてるみたい」という悩みも、実はこの問いが曖昧だから起こっていることが多いんですね。
「誰に対して」がぼんやりしていると、当然「どんな自分で在るか」も決まらない。だから発信する時に迷いが生じて、結果として当たり障りのない表現になってしまう。
でも例えば「恋愛で生きづらさを抱えている人にとって、安心して本音を話せる従姉妹のお姉さんのような存在で在りたい」と決まったなら、その人に対してどんな言葉を選ぶか、どんな在り方をするかが自然と見えてくるはずです。
これはまさに私が友人関係で体験したことと同じ。相手が決まることで、安心して表現できる「型」が見つかるということなんですね。

あなたにとっての「安心できる型」は何ですか?
「型にはまる=悪いこと」という思い込みから少し離れて考えてみると、私たちの周りには実は「安心して表現できる型」がたくさんあることに気づきます。
子どもたちに対しては、わがままで自分本位な自分ばかりを出すわけにもいかないし、先生に対しては、自分の考えを貫こうとしても伸びないわけで・・相手のことを大切にしながら心地よい自分を出していきたいなら、合致する在り方をそれぞれで探していくことが、うまく付き合っていくために必要なことだという気がするんです。
自己表現においても同じことが言えるのではないでしょうか。自分が本当に表現したいことを安心して出していくために、どんな「型」を使うのか。それを意識的に選択していくことで、より豊かで自由な表現ができるようになるのかもしれません。
あなたにとって安心して表現できる「型」は何ですか?
その型を使って、どんな新しい自分に出会えそうでしょうか?
あなたの自己表現の参考になれば幸いです。
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